PCの動きが重いと感じたとき、まず疑うのは常駐ソフトです。ただ、タスクマネージャーの「スタートアップ」タブを開いても、並んでいるのは名前と「影響:中」といった曖昧な評価だけで、それが要るのか要らないのかは結局わからない。名前で検索しても「無効にしても大丈夫」と「無効にすると不具合が出ます」が両方出てきます。
そこで、自動起動しているものを一つずつ「起動して実際に何をしているか」まで確認しました。結果、動かす意味がなくなっていたものが4つ見つかりました。その記録と、判断の仕方を残しておきます。
・常駐ソフトを「名前」ではなく「起動オプションと実際の仕事」で判断する方法
・実際に無効化した4つと、その根拠
・残すべきものと、その見分け方
・元に戻せる形で無効化する手順(レジストリの仕組み込み)
無効化した4つ
| 常駐していたもの | 止めた理由 |
|---|---|
| LM Studio (ローカルAIツール) |
起動オプションが --run-as-service、つまり常時サービスとして待機する設定だった。ところがモデルが1件も入っていない。待機はするが応答できるものが何もない状態で、約222MBのメモリを占有していた |
| Adobe Acrobat Synchronizer (PDFのクラウド同期) |
同じPCで、常駐サービス(ARMservice)と定期実行のスケジュールタスクがすでに動いていた。同じ役割が3重になっていて、そのうちの1つ |
| Microsoft Edge の自動起動 | オプションが --no-startup-window --win-session-start。ウィンドウを出さずに裏で起動しておく先読み常駐。Edgeを主に使っていないなら、起動を速く見せるためだけに毎回リソースを使っていることになる |
| Ollama (ローカルAI実行環境) |
llama.cppに乗り換えて使わなくなっていた。常駐だけでなく、本体とモデルでディスクを9.4GB占有したままだった |
判断の基準は「起動しているか」ではなく「何をしているか」
4つに共通しているのは、どれも壊れておらず、正常に動いていたことです。エラーも出ていないし、動作も軽い。だから何年でも気づかずに動き続けます。
効いたのは、常駐している名前ではなく起動オプションまで見ることでした。LM Studioの --run-as-service がまさにそれで、「アプリが入っている」ことと「アプリが常時待機している」ことは別の話です。しかも中身が空なら、その待機には意味がない。
自動起動の一覧は、PowerShellで一行見られます。
Get-ItemProperty "HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run"
ここに実行ファイルのパスとオプションが丸ごと出ます。タスクマネージャーの一覧より情報量が多く、判断材料になるのはこちらです。同じ場所の HKLM 版(PC全体の設定)も併せて確認します。
Get-ScheduledTask で一覧できます。消さずに「無効化」する
やり直せる形にしておくのが重要です。今回は登録そのものは残したまま、無効フラグだけ立てる方式にしました。Windowsが「スタートアップ」タブの有効/無効を保存しているのは、ここです。
HKCU:\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\StartupApproved\Run
この中に、アプリ名ごとにバイナリ値が入っています。読み方はシンプルで、先頭の1バイトが 2 なら有効、3 なら無効です。実際に整理後の状態を読むとこうなります。
MicrosoftEdgeAutoLaunch_... = 3 ← 無効 OneDrive = 2 ← 有効(残した) electron.app.LM Studio = 3 ← 無効 Adobe Acrobat Synchronizer = 3 ← 無効
元のRun値(実行ファイルのパス)は消していないので、タスクマネージャーの「スタートアップ」タブから右クリック→有効化するだけで元に戻ります。アンインストールしたり、レジストリのキーごと削除したりすると、この復帰ができません。
作業前にバックアップを取っておくとさらに安全です。
reg export "HKCU\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run" backup-Run.reg reg export "HKCU\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\StartupApproved\Run" backup-StartupApproved.reg
なお、この操作自体はタスクマネージャーの画面からマウスでもできます。仕組みを知っておく意味は、「自分が何を変えたか」と「どう戻すか」が正確にわかることにあります。
残したものと、その理由
止めなかったものにも理由があります。基準は「使っていないと困るか」ではなく、「起動時から動いていないと役に立たないか」です。
| 残したもの | 理由 |
|---|---|
| OneDrive | 同期は常駐していないと成立しない。後から手動で起動する運用は現実的でない |
| セキュリティ関連(SecurityHealth) | 常駐がそのまま機能。止める理由がない |
| オーディオドライバのサービス | ハードウェアの機能そのもの。止めると音が出なくなる類 |
| VPNクライアント | 接続を維持する役割なので常駐が前提 |
| Teams | 着信を受ける必要があるなら常駐が必要。使っていなければ止めてよい枠 |
| 自作の自動化スクリプト | スケジュールタスク側で動作を確認してから継続を判断した |
逆に言うと、「後から手動で起動しても間に合うもの」は全部止めてよいということです。エディタ、ブラウザ、開発ツール、クラウドストレージ以外の同期ツール。この基準で見ると、止められるものは思ったより多くあります。
正直なところ、起動時間は測れていない
この手の記事だと「起動が○秒速くなりました」と書きたくなるところですが、今回それは測れませんでした。Windowsの起動時間を記録している診断ログ(Diagnostics-Performance)がこの環境では無効になっていて、整理前のデータが残っていなかったためです。整理してから測っても、比較対象がありません。
なので「体感で速くなった」とは書かないでおきます。代わりに、はっきり数字で言えることだけ挙げます。
- ディスクが9.4GB戻った(Ollama本体2.74GB+モデル6.7GB)。これは削除前後で確認済み
- 常時待機していた222MBのメモリが解放された(LM Studio)
- 同じ役割の重複が3つから2つに減った(Adobe関連)
起動を速くすること以上に価値があったのは、自分のPCで何が動いているかを把握できたことでした。使っていないローカルAIツールが2つ常駐していたのは、正直まったく認識していませんでした。ツールを入れ替えたとき、古いほうの常駐設定だけが残る——というのは、たぶん誰にでも起きています。
手順のまとめ
Get-ItemProperty "HKCU:\...\CurrentVersion\Run"でオプションまで含めて一覧を出す(HKLM版も)Get-ScheduledTaskとservices.mscも見て、同じ役割が重複していないか確認するreg exportでバックアップを取る- 「後から手動で起動しても間に合うもの」を、アンインストールではなく無効化で止める
- 数日使って問題が出なければ、そこで初めてアンインストールを検討する
4番と5番を分けるのが肝心です。無効化なら数クリックで戻せますが、削除してしまうと再インストールと再設定が要ります。
【仕事の依頼】PC環境の整理・自動化を承っています
当ラボでは、こうしたPC環境の棚卸しや自動化の設計を有償で承っています。
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※本記事は個人環境での作業記録です。レジストリの編集は自己責任で行い、必ず事前にバックアップを取ってください。無効化しても問題ないかは環境によって異なります。


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